乳歯ケア

歯の役割

お口は生きていくために必要な栄養素を体内に運ぶための入り口です。体を維持するための食べ物をかみくだいて飲み込みやすくし、消化・吸収を助けます。人とのコミュニケーションに欠かせない言葉の発音にも重要な役割を果たしています。

また、歯並びにより、呼吸や顔の形にも変化をもたらせるので、乳歯のときから正しく使えることが元気の元になります。乳歯が生えそろう前から大切な乳歯との付き合い方を知り、お口のケアを始めましょう。

歯が生える前からの、乳歯ケア

個人差がありますが生後6ヵ月~9ヵ月頃に下の前歯が生え始めます。しかし、赤ちゃんの歯が生えてきてすぐに歯磨きをしようとしても、赤ちゃんが嫌がってなかなかうまくできないことがあります。赤ちゃんが歯みがきを嫌いにならないためには無理強いをせずに、徐々に歯みがきや歯ブラシに慣れることが重要です。

そこで、歯の生える時期が近づいたら乳歯ケアを始めましょう。目安は生後4~5ヵ月頃です。まずはママ・パパのひざに赤ちゃんの頭をのせて、指やガーゼで歯ぐきマッサージをしましょう。指での感覚を覚えた後で歯ブラシを使ったほうが、お口の中に手を入れるのが上手になっているので、赤ちゃんに痛い思いをさせなくて済みます。

赤ちゃんが欲しがる場合は、赤ちゃんに安全プレートの付いた乳歯用の歯ブラシを渡す方法もあります。歯ブラシをカミカミしたら褒めましょう。

赤ちゃんの歯は、大人と同じ?

乳歯はむし歯になりやすい

乳歯は永久歯より小さい割に歯髄(しずい)が大きく、歯髄を守る象牙質やエナメル質が薄いのが特徴。そのため、むし歯になりやすく、いったんむし歯になると進行が早いのです。乳歯のむし歯は自覚症状が少なく、むし歯が進行していても痛がらない赤ちゃんが多いため、親が気付きにくいという面もあります。

乳歯の生え方

乳歯は、ママのお腹の中にいるとき、妊娠7週頃から作られはじめます。実際に生えはじめるのは、6ヵ月~9ヵ月頃。下の前歯から生えてくることが多いようです。1才過ぎ頃には上下4本ずつ前歯が生えそろい、1才半頃に奥歯が生えてきます。上下10本ずつ計20本の乳歯が生えそろうには、2才から3才頃までかかります。ただ、生える時期や順序には個人差があり、あくまでも目安です。

むし歯にしない、乳歯ケア

どうしてむし歯になるの?

むし歯の原因は、ミュータンス菌などのむし歯菌。むし歯菌は口の中に残っている食べかすを分解して歯垢(プラーク)を作り、歯の表面に付いて増えていきます。歯垢は時間とともに菌そのもののかたまりに変化。そこに食べ物が入ってくると、むし歯菌は糖を発酵させて酸を作り、歯の表面を溶かします。いったん溶け出した歯も、唾液に含まれるリン酸カルシウムによって元に戻す(再石灰化)ことができるのですが、食べ物が長時間口の中にあると再石灰化が難しくなり、むし歯になってしまうのです。

乳歯がむし歯になると・・・

乳歯がむし歯になると、口の中にむし歯菌が増えるため、永久歯もむし歯になりやすくなります。乳歯の根の下の歯ぐきの中には、生える前から永久歯が成長しているので、特に歯根の達するようなひどいむし歯の場合、永久歯のエナメル質や象牙質の形成が不完全になることもあります。また乳歯のむし歯を抜くと、両側の歯が寄りはじめて永久歯の生えるスペースが狭くなり、歯並びが悪くなることも。生えかわるからと油断せず、乳歯の時期からしっかりケアしてあげましょう。

むし歯予防はトータルケアで

乳歯をむし歯から守るには、歯みがきはもちろん、食事や定期健診などトータルなケアが大切です。

● 歯みがき

「食べたらすぐみがく」が理想的。最低1日1回は、歯みがきで汚れを落として。乳児用歯ブラシは鉛筆を持つように短めに持ち、1本ずつやさしくみがくのがポイント。歯ブラシに慣れるまでは、赤ちゃんの機嫌のよいときやママ・パパに余裕のあるときに歯みがきをする程度でかまいません。慣れてきたら徐々に習慣づけていきましょう。

● 食事

だらだら食べは、酸性に傾いたお口を中性に戻すための唾液の分泌がおいつかなくなってむし歯になりやすくなります。食事やおやつは時間を決めて、食事やおやつをお口に入れない時間を確保することが大切です。また、砂糖はミュータンス菌が酸を作るための材料です。3才になるまでは料理に砂糖を使用しない、砂糖不使用のお菓子を選ぶなど、砂糖の摂取量をできるだけ抑えられるように工夫しましょう。

● 歯科健診

半年に1度くらい、歯科で歯の健康診断を受けましょう。

● フッ素

歯質を強化してくれる、ミュータンス菌の働きを抑える、歯の再石灰化を促すなどの効果があるフッ素は、むし歯予防の強い味方。歯みがき剤はフッ素入りを使いましょう。

● キシリトール

口の中で酸をつくらない甘味料。 砂糖の代わりに用いることで、むし歯予防に役立ちます。使用量は、年齢や口腔内の状態によって異なるので、医師の指示に従って使用してください。

川越じゅん奈
監修してくれた先生

川越じゅん奈

原宿こども歯科院長
2004年岩手医科大学卒業後、赤ちゃん子供歯科、こばやし歯科クリニック、あーす歯科勤務の後、2015年に原宿こども歯科を開業。怖くない、また来たくなるような場所となることをモットーに、そして「歯医者さんに遊びに行こう!」をテーマに診療を行っている。院内は赤ちゃんの時からご家族で心の負担なく通えるよう幸せ感たっぷりな空間や仕掛け用意するなど、楽しめる歯医者を目指している。

原宿こども歯科HP

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